メタボリックシンドロームの治療
1.食事療法
具体的には体重を5〜10%減らすことが有効とされている。
摂取カロリーに関しては、25kcal/kg標準体重(1,200〜1800kcal/日)、
塩分に関しては、理想は7グラム以下、せめて10グラム以下を目標とする。
また、血圧を下げるため、カリウムを多く含む野菜やリンゴやバナナなどの
果実を適度な量食べることも勧められる。
欧米に比べて日本のメタボリックシンドロームの基準は初期の病態から
診断基準に当てはまることが多いため、軽度の肥満の方が比較的多い。
そのため、食事制限により、糖代謝、脂質代謝、高血圧の顕著な改善が期待できる。
2.運動療法
運動の役割は二つある。ひとつは体脂肪を燃焼させるためのもの。
もう一つは体の基礎代謝を高めるためのものである。
体脂肪を燃焼させるためには有酸素運動が有効である。
種目としては、早歩き、水泳、自転車、エアロビクスなどが
理想的な運動とされている。
(最大運動強度の50%程度が一番いい)
これらの運動を10分以上、できれば20分以上行うことで
脂肪の燃焼がおこるとされている。
基礎代謝とは呼吸運動、心拍活動、体温の維持など人間が生きていく上での
必要且つ最低限の営みにおいて消費されるカロリーのことである。
このとき、カロリーを消費する臓器としては筋肉がある。
すなわち筋肉が増えれば基礎代謝量も増え、肥満の防止につながるといえる。
筋肉を増やすための運動としては筋肉トレーニングなどの無酸素運動が有効
とされている。
以上をまとめると、、、、
肥満解消には、有酸素運動による内臓脂肪の燃焼と無酸素運動による
筋肉の増量の双方が必要且つ有効である。
尚、運動の頻度としては、週に3回〜5回程度必要である。
ただし、リスクの程度によって変わってくるので事前に心臓専門医のもと
心臓の機能評価を行ってからメニューを決めることを是非お薦めする。
3.薬物療法
メタボリックシンドロームの治療薬とは、高血圧、糖尿病、高コレステロール、TG血症
の治療薬とほぼ同義語である。
食事、運動療法にて不十分な場合は、積極的に薬剤を使用し、上記病態による動脈硬化性
疾患になるリスクを軽減していく必要がある。
肥満に対する薬である抗肥満薬としては、現在、日本で用いることの出来る薬は
マジンドールであるが、保険適応が高度肥満に限定され、効果も弱いことより、
あまり使用されていない。
また、日本国内ではまだ未承認薬であるが、ジブトラミンが食欲抑制作用が強いという
ことで現在注目されている。日本では、まだ、治験段階にある。
なぜ、ジブトラミンは食欲抑制作用が強いのであろうか?
それを説明する前にまず簡単に食欲が発生するメカニズムに簡単に触れておく。
食欲は脳内の視床下部というところでコントロールされている。
脳内では、食前や食中には、快感を求める神経伝達物質であるドーパミンの濃度
が高く、食後にはセロトニンの濃度が上がることが知られている。
すなわち、セロトニンの濃度が上がることで満腹感が脳に伝えられ、食欲が
満たされるのである。
このことは、セロトニンの血液中での濃度を高くすることが出来れば空腹感が
抑えられるということを意味している。
また、カテコラミンのひとつであるノルアドレナリンにも食欲抑制作用があること
が知られている。
ジブトラミンは、放出されたセロトニンやノルアドレナリンが細胞に再取り込みされる
のを阻害する作用が非常に強いことがわかっており、ジブトラミンの数倍以上とされている。
すなわち、ジブトラミンは結果的にセロトニンやノルアドレナリンの血液中の濃度を高く保つ
ことになり、その結果、食欲を抑えることができると考えられる。